アートのコツライブラリー

2012年3月20日火曜日

トリエンナーレをつなぐコツ

「アートのコツ」はアートホリックな方々にアートを 楽しむコツを教えていただくコーナーです。今回は、「アートラボあいち」スタッフの近藤令子さんに「トリエンナーレをつなぐコツ」を 教えていただきました。

  2011821日、長者町に「アートラボあいち」が開館しました。アートラボあいちとは、あいちトリエンナーレ2010でまちなか展開の中心となった長者町でまちなかの展示スペースであったビルを利用して新たに活動を始めたアートスペースです。地下1階から4階までのスペースがあり、あいちトリエンナーレの情報を発信するスペースや、県内外の芸術系大学を始めとした若手アーティストの紹介をする展示スペースがあります。
 その中で、NPO提案型協働事業として、2階と地下1階を主に運営しているのが「はち」という団体です。私は、そのはちに所属し、オープンから約半年仕事をしてきました。はちでは、様々な団体にスペースを貸し出す他、自主企画の展覧会や催物を実施してきています。
 様々な企画の運営を通して、この地域で活動しているアーティストやまちの方々、アートの活動団体等に巡り合うことができたと感じています。それは、やはりあいちトリエンナーレという巨大なアートのイベントが2010年に開催され、その影響がいろんなところで根付いているからではないでしょうか。例えば、アートラボあいちに来るまちの方たちとお話していると、必ずと言っていいほど、あいちトリエンナーレの話題が持ち上がり、その時の思い出や次回への期待を感じることができます。また、それはまちの人だけでなくあいちトリエンナーレをきっかけにアートに興味や関心を持つこととなった人たちにも言えることだと感じています。この長者町というまちの中に、アートセンターとして、アートラボあいちが存在しているからこそ見えてきたことであり、そこで活動してきたことでより強く感じることができました。
 また、様々な方々と交流を続けていく中で新たに発見できたこともあります。出品作家によるアーティストトークを通して作品や作家がより身近な存在となったり、ネットワークミーティングというあるテーマに沿って集められた人々との意見交換によってそれまでは気が付かなかったジャンルの楽しみ方をみつけることができたり、アーティストサポートプログラムに参加した作家との交流を通して今現在活動しているアーティストの状況を共有することができました。さらに、ポートフォリオミーティングでは、アーティストによる自身の作品や制作についてのプレゼンテーションを聞くことでこの地域で活動しているアーティストの情報を得ることができたり、アートラボあいちに来館する方々と話をすることで面白い展覧会の情報を交換できたりといった貴重な体験をすることができました。これは、アートラボあいちが、単に展覧会だけをみせるためだけの施設ではないことが大きなポイントだと感じています。
 アートラボあいちで得ることができたこのような経験は、私個人で完結することなく、今後も様々な活動を通して、色んな角度からアートを繋ぎ、広げていくハブのような存在となっていくことができればと思っています。アートラボあいちのような空間で、アートの取り組みを間近で感じたり、情報交換したりしていくことで、思いがけない所で人と人が、アートと人が協働していき、その流れの中で次回のあいちトリエンナーレ2013にもつながっていくのではないかと思います。


近藤令子
美術館やあいちトリエンナーレ2010勤務後、アートラボあいちにてはちスタッフとして活動中。
アートラボあいちhttp://www.artlabaichi.com/